戦場のメリークリスマス [DVD]

戦場のメリークリスマス [DVD]

主役級登場人物の日本語が下手で聞き取れない。筋立てがどの様な展開になっているのか追いかけるのが困難。「そのシーンいるの?」ってシーンがいくつかある。
とかく、「解りにくい」映画ではある。
けれど、それを補って余りある勢いでパワーのあるシーンが3シーンほどあって、完全に引き込まれてしまった。
そして、あの坂本龍一の音楽。
そのシーンと坂本龍一の音楽だけで、掻き乱されてしまう力が十分にあった。
たぶん傑作。忘れられそうにない。


坂本龍一演じるヨノイ大尉の心情は高潔な「恋」に近いものに見える。
ある人に「引き込まれる」ことってあるのだと思う。(それは、性も何も関係なく)
それは「魅入られる」に近く、「恋」に近似したものだろう。
そういえば、大島渚は御法度とかも取ってたし、突然現れる他者に魅入られる高潔な男を描くのが好きなのかも知れない。(御法度見てないけど)


戦時に至って狂気に駆られる集団は、かくも恐ろしい。
だけど、その集団の中の「個人」というものは必ずしも恐ろしくないし、むしろ愛おしい。


主役級の日本人二人は、坂本龍一北野武
この二人はただの役者では(当然)無い。
この二人の異才がこの様な映画であんな演技をするところを見ると、本当にこういう才能のある人間というのは、何に付けても才能があるのだと思う。
特に、北野武は、現在の北野武に繋がるオーラを出しまくってると思う。
1983年。この頃は、まだ「オレたちひょうきん族」などをやっていた北野武が「TAKESHI」という名(ビートたけしでもなく北野武でもなく)で出演していることに、当時の立ち位置に対する戸惑いみたいなものが感じられる。
今は、既に様々な才能溢れる北野武という視点からしか見れないわけだが、当時の彼がどの様な評価を受けていたのかは気になる。
あと、坂本龍一は、本当に本当に、あの音楽は凄い。素晴らしいとしか言いようがない。