私は惑乱状態にあって、訳が分からなくなっていた。
そう言う状態になるのを恐れつつ、一方で挑みかかってもいたのだが、そんな中でどうして敗北を受け入れることが出来たのか今もって分からない。
あの頃は流れゆく雲の間をふわふわ漂い、ひょっとしたら自分がどういう人間か分かるかも知れないという虚しい期待を抱いて鏡の前に立ち、自分自身を相手に話し合ったものだった。
酷い錯乱状態に陥っていたので、石や瓶が飛び交う学生デモの際に、<<私は恋狂いしている>>という自分の信念を書き付けたプラカードを持ってデモ隊の先頭に立ちたいという気持ちを必死になって抑え込んだ。