http://www.elephant-picture.jp/lastdays/

早稲田松竹で映画。


これは、カート・コバーンの話ではなく、孤独のまま一人で死んでいく男の最後の二日間の話だ。
彼の孤独は喩えようもなく深い。
それを映し出す、美しい映像。
歩く人を後ろから追うスタイルで撮るのは、エレファントの時と同じだ。
監督は「考える時間を与えてるんだ」と言ってた。
あんなにふわふわする孤独な魂を抱きしめたくなる。
あの家の裏の、透明な、光。


誰も彼に優しくなかった。
誰も彼の死に泣かなかった。
彼はあんなにも孤独なのに、誰も彼を救わなかったことを、酷いと思うべきなのだろうか。
でも、どうして、彼が孤独だからと言って、誰かが彼に「優しく」しなくてはいけない?


これは困難な問題だ。
例え、私の孤独に対して誰かが優しかったとしても、それは、
暇なのか、私を可愛いと勘違いしているのか、私のことを好きだと思っているのか、私のことを気の毒だと思っているのか、
そんなところであることは多いのだ。
「優しくして貰う」ことは普通でないことで、誰も、誰かの孤独に報いたり関わったりしなくてはいけない理由なんか無い。
でも、だとしたら、その深い孤独はどの様に救済されたら良い?


「死から生までの、長い長い道のり」
と彼は歌う。
一人きりのまま何時か死ぬ。