8ミリ映画 犬猫 [DVD]

8ミリ映画 犬猫 [DVD]

オリジナル版 闇打つ心臓 [DVD]

オリジナル版 闇打つ心臓 [DVD]


地元の多摩映画祭の8mm特集で上映。頑張って永山まで行く。会場が、公民館。なんて田舎臭い…。
オリジナル版の闇打つ心臓が観たくて行ったんだけど、満足できる出来。
(06年版の「闇打つ心臓 Heart, beating in the dark」あの頃の私一人では絶対観ないような映画だったけれども、今ではとても印象的な作品だ。こうして、私は、ほんの数ヶ月のうちに、映画を観ることを覚えて、頑張って学び続けている)


ただ、この段階でリメイクされることは想定されていなかったわけであるが、06年版において23年後の伊奈子とリンゴォ(なんて名前なんだ)の「現在」を観てしまった以上、この作品は、「失われた過去」にしか見えない。
当時、日常感を漂わせていたかも知れない8mmのぼやけたような緩めの映像演出は、今ではまるで倉から出してきて埃が積もってるためにこんな映像になるんじゃ無いかって思えてしまう。そのくらいに、時間を感じる。
そこにあるのは、失われた若さ、失われた衝動、失われた身体だ。
あの内藤の子供みたいな顔(あんな男の子の顔なんて、大体は子供みたいだ。子供なのだから)、室井の白い乳房。
当然のように出てくる裸体も、まるでエロティックでは無い。醜悪だというわけでもない。それは、あまりに、現在と断絶しすぎている。
オリジナル版を観ると、彼女らが若さを持っているのに、それを知らないことが悲しい。
06年版を観ると、彼女らはあの若さを持っていた時代を越えて(あるいは置き去りにして?)23年後に立っていて、そこには老いと諦観(すなわち、もの凄い勢いの、あの頃の未来に僕らは立っていないっぷり)が降り積もっているのが、悲しい。忘れてはいけないことをたくさん忘れ、だけれど少し覚えているのが、悲しい。
私は、まだ、オリジナル版の方に近いから、いずれはあの場所に行かなくてはいけない。


でも、本来、この作品は、そんなものを撮った作品では、無かったはずだ。
だけれど、06年版で現実の時間の流れによって補完されたこの物語は、逆転して23年前の素朴な8mm映像の見方も変えてしまう。



犬猫の方は「おいおい、世の中、こんなに性格の悪いオンナノコがいて大丈夫なのかよ…」って思った。。
誰かの好きな男の子を盗りたいって気持ちとか、全然解らんな。
たぶん、オンナノコより男の子の方に関心が向いてるから、眼中にないんだろうなぁ。
でも、風景に何度もデジャヴ。8ミリで現代の街を撮ると、何もかもが「誰かと歩いたことがある、見たことある、どこか」になってしまう。